上海老舗「沈大成」 伝統の味:行列ができる草餅『青団』とは?
上海を訪れるなら、「南京路歩行街」は絶対に外せない観光スポットのひとつです。この賑やかな通りで100年にわたり確固たる存在感を示しているのが老舗の点心店「沈大成(シェンダーチェン)」。本記事では、この「沈大成」が誇る絶品スイーツ、「青団(チンタン)」についてご紹介します。
目次
沈大成とは?
沈大成の歴史は、清の光緒元年(1875年)にまで遡ります。創業者である沈阿金が、湖北路福州路口(現在の青蓮閣付近)でお粥店をオープンしたのが沈大成の始まりです。
後の光緒23年(1897年)、当時人気を集めていた蘇州風の糕団(菓子)に目をつけた沈は、お粥店を手放して新たに「沈大成糕団店」をオープンしました。店名の「沈」は創業者の姓、「大成」には「あらゆる点心や軽食を集めた」という意味が込められています。

創業当初の「沈大成糕団店」は南京路近くの小さな店舗で営業をスタートしましたが、火災や戦争を経て、最終的に現在の南京東路636号に定着。民国時代には三つの店舗で営業を開始し、徐々にその規模を拡大していきました。
2005年には、その伝統的な製法と味が正式に評価され、「沈大成の糕団と小吃製作技術」として黄浦区の非物質文化遺産に認定されています。
沈大成は伝統を守るだけでなく、現代の市場に合わせた革新にも積極的です。2019年には、ニュージーランドの著名乳製品ブランド「Anchor」とのコラボレーションを実現し、チーズを使ったスイーツや月餅など新しい商品を次々と生み出しました。また、オンライン市場にも進出し、全チャネルを活用して若者にも支持されるブランドへと進化を遂げています。

沈大成の名物「青団」とは?草餅とは違うの?
沈大成の看板商品である「青団(チンタン)」は、春の季節を象徴する伝統的な中国のスイーツです。団子表面に特徴的なつやつやとした鮮やかな緑色は、天然のよもぎ(艾草)から作られています。餡には小豆、黒ゴマ、塩味の卵黄、肉松と呼ばれる肉のふりかけなど、さまざまなバリエーションがあります。
日本の草餅と見た目は似ていますが、餅も餡も草餅より柔らかく、表面はつるっとしており、のど越しがいいのが特徴です。
なぜ「沈大成」の青団が特別なのか?
筆者は結構な青団好きで上海市内の色々な青団を試しましたが、やはり沈大成に勝る場所はありませんでした!
沈大成の特徴は、草なのに草っぽさが全くない、それでいて天然よもぎの旨味がしっかり味わえる、点にあります。さらに、すっきりとした独特な香りともちもちの食感が合わさり、1個食べた後の満足感が半端ない。餡が他の青団に比べて甘さ控えめに作られているのも大きな魅力の一つです。
上海では国際飯店の「蝶々パイ」に続き、行列ができる超有名スイーツです。特に清明節の時期(毎年4月頃で、祖先を供養するための祝日)には、4つある窓口全てに人がごった返るほどの人気ぶり。

「沈大成」餅菓子のメニューと価格
1番人気の小豆青団は5元/個です。他にも甘さ控えめで美味しい餅菓子が色々販売されているので、ぜひ試してみてください。青団以外で筆者のお気に入りは、餅を包むココナッツパウダーと黒ゴマ餡が絶妙にマッチする双醸団、きな粉たっぷりの松花金饼です。

~メニュー紹介~
- 条头糕(4元/個) → 細長い餅に中華風こしあんが入ったもの
- 双醸団(5元/個) → ココナッツパウダーに包まれた餅に黒ゴマ餡が入ったもの
- 松花金饼(5元/個) → 表面も中もきな粉たっぷりの餅
- 豆沙青团(5元/個) → 王道の小豆青団!
- 蛋黄肉松青团 (8元/個)→ 肉の振りかけと塩漬け卵黄が入った青団
- 糍毛团(8元/個)→ もち米に包まれた青団子
- 薄荷方糕(5元/個) → 四角い小豆餡の餅菓子。表面には甘い金木犀が散りばめられ、ほんのりミントの味がする
- 八宝饭(30元/個)→ 中国で最も有名な伝統菓子の一つで、ラード、各種ドライフルーツ、ナッツ類を混ぜた甘めのもち米に小豆餡を入れ、蒸したもの
- 百果松糕(35元/個)→ 各種ドライフルーツやナッツ類が入った蒸しパンのようなケーキに小豆餡が入ったもの

「沈大成」では食事もできる!
「沈大成」1Fの食堂では、小籠包や春巻きなどの点心、上海焼きそばや色んな具が入った温かいラーメン、チャーハンや各種炒め物など、美味しい地元料理を大衆価格で味わうことができます。
8:00から営業しているので、南京路のホテルに朝食なしプランで宿泊している場合など、朝ごはんとしてもいいですよ~。


「沈大成」での支払い方法
代金はWechat PayかAlipayによるQRコード支払いのみです。日本人でも登録して使えるので、以下の記事を参考に事前設定してくださいね。
沈大成へのアクセス
- 住所:上海市 黄浦区 南京東路636号
- 営業時間:7:00 ~ 21:30
- アクセス:地下鉄「人民広場駅」7号口を出て南京歩行路に入り、徒歩数分。進行方向の左側に以下写真のような窓口が見えたら到着です。窓口は3か所あるので、どれか一つに並んでください。

上海地下鉄の乗り方や路線図はこちらの記事で紹介しています。
次回の上海旅行の計画に、「沈大成」をぜひ加えてみてください!青団はもちろん、他にもお土産にぴったりな中華スイーツが豊富に揃っています。パッケージも高級感があり、日本へのお土産としても喜ばれること間違いありませんよ。