スターバックス中国、博裕キャピタルと提携:2万店を目指す巨大コーヒー市場の新戦略
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スターバックス、中国で新たな戦略提携を発表

2025年11月4日、世界最大のコーヒーチェーンである「スターバックス(Starbucks)」は、中国における事業を運営するため、「博裕資本(Boyu Capital)」と新たな合弁会社を設立することを正式発表しました。

2025年度末時点で、スターバックス中国の店舗数は8,011店。両社はこの数字を2万店まで拡大することを目標にしています。

この新会社の企業価値は約40億ドル(約6,400億円)とされ、博裕資本が60%の株式を保有し、スターバックスが残り40%を保有する形に。スターバックスは引き続きブランドと知的財産の所有者となり、新会社にライセンスを供与します。

この提携により、スターバックスは近年苦戦を強いられていた中国市場での資本構造を再編し、中国現地に精通したパートナーとともに新たな一手を打つ構えです。

スターバックス、中国で合弁会社設立の背景とは?

この取引は2025年の中国で最も注目されたM&A案件の一つでした。

今年初頭から、有力な中国系プライベート・エクイティ(PE)ファンドが買収候補として次々名を連ねていた中、最終的には「博裕資本」で終結する形に。

博裕資本とは何者?

「博裕資本(Boyu Capital)」は、2011年に設立された中国系オルタナティブ資産運用会社です。

非公開で長期的な視点を要する資産(オルタナティブ資産)への投資を専門としており、プライベート・エクイティ(PE)投資、上場企業戦略投資、物流・データセンター投資、ベンチャーキャピタル投資の他、主にテクノロジー革新、消費・小売、ヘルスケアの3大分野に重点を置いているとのこと。

香港、北京、上海、シンガポールに拠点を持つこのマンモス投資会社の運用資産は現在、100億ドル(約1.5兆円)にも上ります。

博裕資本のLP構成

博裕キャピタルには、強力なLP(出資者)陣が揃っています。

2011年に立ち上げた最初の10億ドル規模のファンドには、シンガポール政府系ファンドのテマセクや李嘉誠財団といった大手アジア投資家が名を連ねました。

また、海外の公共年金基金などもLPとして参画しており、このことが国際的な資金調達やM&A、クロスボーダー投資での大きな強みとなっています。

博裕資本の投資実績:アリババ、極兔、完美日記、蜜雪冰城など200社以上

設立から14年で、博裕資本は200社以上の企業に出資しています。

特に注目すべきは2012年のアリババ再編時の関与です。

当時、馬雲(ジャック・マー)がヤフーからアリババの株20%を買い戻す際、中国投資有限責任公司(CIC)、中信集団、国家開発銀行、そして設立間もない博裕資本が参加しました。

結果、博裕資本はアリババの約5.6%の株式を獲得することに成功し、2年後のアリババのニューヨーク証券取引所上場時に莫大なリターンを獲得しました。

このほかにも、博裕資本は多くの大型案件に関与しており、2023年〜2025年には蜜雪冰城、海天味業、華潤飲料などのIPOにおいて基石投資者(Cornerstone Investor)として参加しています。

スターバックスが “合弁” を選んだ理由

ブランド統制と顧客体験の維持を最重視するスターバックスは長年、中国市場で直営モデル(フランチャイズではない形)を貫いてきました。

しかし、コロナ禍以降の店舗コスト増加やデジタルシフトへの対応の遅れに加え、現地の競合による猛烈な追い上げが、スターバックスの成長戦略に大きな転換を迫っていました。

例えば、最大のライバルである瑞幸咖啡(Luckin Coffee)は、積極的な出店攻勢と「9.9元(約200円)コーヒー」に代表される低価格クーポン戦略で顧客を掴み、店舗数では2019年には既にスターバックスを上回っていました。

2023年末時点で瑞幸咖啡の店舗数が16,200店を超えたのに対し、スターバックスは約7,000店とその差は大きく開いています。

さらに、蜜雪冰城のようなティー専門店も格安コーヒーで市場に参入するなど、異業種からの競争も激化。

この価格競争の波はスターバックスにも影響を及ぼし、平均客単価は前年比で9%も減少するなど、かつての圧倒的な優位性は揺らいでいました。

こうした厳しい状況を受け、2024年10月、CEOのブライアン・ニコル(Brian Niccol)氏は、「成長を取り戻すには戦略を根本から変える必要がある」と語り、中国市場では「長期的成長のための戦略的パートナーシップを模索する」必要があると明言。

実際、KFCやマクドナルドもかつては同様に、中国で独資から合弁に転換しており、これは珍しいことではありません。

スターバックス自体も、世界各国で市場の成熟度に応じて直営・合弁・フランチャイズを使い分けています。例えば:

  • 台湾・香港・マカオ ⇒ 統一企業、美心グループがフランチャイズ運営
  • 日本 ⇒ Sazabyと合弁で1995年に参入、2016年に全株取得して100%子会社化
  • 中国 ⇒ 当初は北京美大・上海統一・香港美心と地域ごとに分けて運営し、2006年以降、外資規制緩和を経て2017年にすべて直営化

つまり、中国市場26年の歴史の中で、スターバックスは成長段階に応じて柔軟に運営モデルを変えてきたのです。

そして今回の提携は、急速に変化する市場で競争優位を保つための “次の一手” というわけです。

中国で2万店舗へ:スターバックスの新たな野望

CEOのニコル氏は今回の発表で、「新しいパートナーと共に、中国の中小都市や新興地域での出店を加速させる」と強調しています。

スターバックス中国の初期の目標は、「お茶文化の国にコーヒー文化を根付かせること」でした。

そして今、その目標は達成されたと言えるでしょう。中国の都市ではコーヒーを片手に歩く光景が日常となりました。しかし、スターバックスが育てた市場は、同時に強力な競合が次々と生まれる土壌ともなったのです。デジタル戦略と価格を武器にするローカルブランドの猛追を受け、単に「コーヒーを教える」段階は終わりました。

スターバックスの新たな使命は、「数多の選択肢がある中で、それでも選ばれる独自の価値を守り、最も輝ける市場領域を勝ち取ること」へと進化しています。

新たな地元パートナーという強力な武器を手に、スターバックス中国の物語は次なる章へと突入していきます。

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